2022-04-06
武蔵野音楽大学「音楽イノベーション」講義
武蔵野音楽大学 音楽学部「音楽イノベーション」講義(新設)を担当。
Lecture on Music Innovation (newly opened) at Musashino Academia Musicae.
新講義「音楽イノベーション」講義担当に際して
4月から武蔵野音楽大学で「音楽イノベーション」講義を担当しています。畏多くも、僕が教えるため新設された講義です。
アートマネジメントコースのコンピュータ音楽実習はちょうど震災後の春から始め、12年目。2019年からは、作曲コースも担当しています。教育に携わった方なら同意されると思いますが、人に与えることより自分が勉強になり得られることの方が多く、有意義で長くなりました。
そんな中、2018年に大学役職員の部長から「今世紀に相応しい、音楽による社会貢献を目指す内容を教えてほしい」と依頼をいただき、僕が小さく試行してきた新しい音楽制作方法やリリース方法の実績を買っていただいたものと、勉強してきました。まさに、音楽環境研究所 合同会社として目指している内容とも一致し、やりがいを感じ準備してきました。
さて、混迷する社会状況ですが、多業種を横断する視点での論理的思考力に加え、問題の本質を鋭く見極める直感力や感性が益々重視されています。
また、教育全般においては、「知識を学ぶ」から「知識の活用」への変化は加速していくと考えます。例えば、これまで誰も想像もできなかった未知のテクノロジー・ツールが現れ続ける世界で、それらをどう倫理観を持ち活用していくか考える人材の育成なども意義として挙げられます。
では、音楽教育においてはどういう背景と要請があるのでしょう。音楽をただ音楽として学ぶことは定着した中、メタに「音楽は社会にどのような影響を与えられるのか」「音楽家は社会にどう貢献していくべきか」という問題定義が芽生えています。
音楽を純粋に楽しみ学び伝えるという根幹と同時に、これからの社会へ訴求するため、
・音楽自体を拡張すること(21世紀の参加型音楽、多様性を体現する音楽)
・音楽と他分野(日常的/社会的/公共的/先進的分野)が連携すること
により、音楽の潜在的価値を掘り起こすイノベーションが必要です。
20世紀に確立された上演型音楽に合わせた音楽教育とビジネスを画一的に目指すのではなく、小さなコミュニティであっても音楽が確実に貢献できる仕組みを考える人材を育て、芸術が持続可能な経済発展や社会整備の推進力となることを共に学んでいけたらと思っています。
個人での作編曲仕事、音楽環境研究所 合同会社での音楽プロデュース仕事に加え、まずはハードな1年になりますが、楽しんでいきます。