2010-08-25

Wonderer: Space 1 - EP


MASTERING, DISTRIBUTION to iTunes Store by MEGADOLLY

Wonderer: Space 1 - EP
[Eclectic Records]


(exclusive)

01. Garota de Ipanema(イパネマの娘)
02. Caminho das Águas(カミーニョ・ダス・アグアス)
03. A Rã(蛙)
04. Luiza / Quem te viu, quem te vê(ルイーザ / 君を見た者、君を見る者)


Wonderer:
越境する最前衛ピアニスト岡野勇仁、ブラジル音楽からフリー即興まで幅広い活躍を展開する助川太郎、圧倒的な歌唱力で注目を集める行川さをりの3人からなる日本発の宇宙的ブラジル音楽トリオ。
スタンダードなブラジル音楽を題材にしながらもフリー即興やエレクトロニクスを交えて展開する音世界は、地球にやってきた宇宙人の意味を持つバンド名さながらに宇宙的でトランシー。楽曲の骨子はそのままに展開される3人のフリー即興は、古代の宗教的世界観を思わせる全く独自の世界である。

Space 1 - EP:
01. Garota de Ipanema (Antonio Carlos Jobim / Vinícius de Moraes)
誰もが知っているイパネマの娘をWonderer風にアレンジしてのスペーシーな演奏。岡野勇仁がまず原曲のコード進行と違うコード進行にアレンジ。前半はファンク的な刻みによる展開、後半はテンポもコードもない部分やノイズを音楽として構築していく展開、と違う世界を楽しむことができる。助川太郎の心地よいカッティング、行川さをりのスキャット的アプローチも聴きどころ。

02. Caminho das Águas (Rodrigo Maranhão / Maria Rita)
サンバやボサノヴァとは違うブラジルの北東部的リズムによる大地を思わせる楽曲。ピアノとギターのしっかりと噛み合ったリズム、のびやかな行川さをりの歌唱が、郷愁を感じさせる広がりのあるサウンドをつくり出す。ソロ部分は、ビリンバウ的な助川太郎のギター、岡野勇仁のジャズ的なアプローチにエレクトロニクスが加わるまさにWonderer的な不思議空間である。

03. A Rã (Joao Donato / Caetano Veloso)
蛙の鳴き声をそのまま歌詞にしたような楽曲。カリンバ、口琴、オタマトーンなどを交えた、Wondererの真骨頂とも言える自由な即興演奏を存分に味わえる演奏である。自由ながらも曲の構成、雰囲気を感じさせる即興演奏におけるバランス感覚もWondererの特徴と言えるだろう。曲の終わりではスペインの名曲「アルハンブラの思い出」のコラージュも登場。

04. Luiza (Antonio Carlos Jobim) / Quem te viu, quem te vê (Chico Buarque)
岡野勇仁のコンテンポラリージャズを思わせるフリーな前奏に、そのまま行川さをりの歌唱がのっかってくるルイーザ。複雑なリズムとルバートでお互いに呼応しながら、曲をすすめていく技術力の高さは他では聴けない独自の世界。メドレーで演奏されるQuem te viu, quem te vêはペルシャ的な雰囲気を感じさせながら歌、ピアノ、ギター、エレクトロニクスが渾然一体となって、押し寄せる圧倒的な演奏である。

(岡野勇仁)