サウンド&レコーディング・マガジン 2010年2月号 特別企画へ寄稿(ボサノヴァコード解説)
Writing an article on bossa nova chords for Sound & Recording Magazine in 2010.2
■特別企画
ピアノロールで簡単打ち込み!
ジャンル別「コード進行のネタ帳」
音楽を作るにあたって、コード進行の知識があった方がいいとは誰もが思うことだが、コードはきちんと学ぼうとすると何やら難しく感じてしまうのも事実。そこで本企画では、ジャンル別にライター陣にお手本となるコード進行を10種類ずつピックアップしてもらい、DAWのピアノロール画面を使ってその魅力と秘密を解説していただいた。掲載されているコード進行は、WebサイトからMIDIデータをダウンロードできるので、自分のDAWに読み込んで、実際に音を聴きながら読み進んでいけば、いつの間にかコード進行を自在に操れるようになるハズだ!
≪登場ジャンル≫
◎ロック by CUBE JUICE
◎ポップス by 高山博
◎ソウル by 祐天寺浩美
◎ジャズ by 斉藤修
◎ボサノヴァ by 安田寿之
Antonio Carlos Jobim: Wave
Aメロ
D6 (9) | A#dim | Am7 | D7 (-9) | G△7 | C9 | F#7 (13) F#7 (-13) | F#m7 B7 (-9 -13) | E7 | A#7 A7 | Dm7 G/D | Dm7 G/D
最初のコードD6 (9)。コード感的にはD△9だが、このボイシングにブラジルっぽさが隠れている。ブラジルの伝統的な楽器は、Violão(ギター)で、ご存じの通り4度を中心にしたチューニングである。 構成音「F# B E」は4度の関係でViolãoで弾きやすく、これがボサノヴァっぽさに繋がっている。同じルート音の△7コードと7thコードは意外に遠い存在だが、4小節目で早速D7 (-9)に戻るという離れ業になっている。これをなしえている鍵は、2小節目でA#dimに進行する冒険である。3小節目Am7にクリシェで降りた時には、ⅡⅤの関係であるD7 (-9)が見えているからである。その後は基本的にⅡⅤで進行するが、9-10小節目の7thで平行移動する部分に注目したい。かなり土臭くブルージーなはずだが、そこまでの上品さとのコントラストで、この曲に深みを与えている印象だ。Jobimのすごさは、この7thコードの絶妙な使い方にある。
Antonio Carlos Jobim: Por Causa De Voce
Antonio Carlos Jobim: Corcovado
Antonio Carlos Jobim: Inútil Paisagem
Carlos Lyra, Vinicius de Moraes: Você E Eu
Eumir Deodato: Baiãozinho
Ary Barroso: Aquarela Do Brasil
Marcos Valle: So Nice
Luiz Bonfa: Manha de Carnaval
Ismael Silva, Noel Rosa, Francisco Alves: Adeus
についても同様に解説しています。
全文は紙面にて。